QucsStudio 回路シミュレーター と S-parameter

QucsStudio

趣味で回路シミュレーターを使いたいと思うと高価な回路シミュレーターを想像しますが、無償で使える回路シミュレーターが幾つか有りますので投稿者が使っているシミュレーターでQucsStudioを今回は簡単に紹介します。なぜ紹介するか、NanoVNAで取得した S-parameter(以下;Sパラ)で色々と遊びたいからです。

QucsStudioの話をする前に無償で使えるシミュレーターを下記に記載しますので興味がある方は色々チェックしてください。

  1. LTSpice 回路シミュレータ アナログ・デバイセズ社(旧リニアテクノロジー社)
  2. OrCAD PSpice Designer  回路シミュレータ Cadence Design Systems社?
  3. PSpice for TI 回路シミュレータ テキサス・インスツルメンツ社 
  4. TINA-TI  回路シミュレータ テキサス・インスツルメンツ社
  5. MicroCAP DEMO 回路シミュレータ Spectrum Software社?
  6. SonnetLite 平面三次元電磁界シミュレータ Sonnet社
  7. S-NAP® Wireless Suite® 回路シミュレータと多層基板用平面電磁界 株式会社エム・イー・エル 
  8. ansoft designer sv 回路シミュレーター 旧ansoft社 公開はされていない。参考;(C)北摂電子 Hokusetsu Electric webを探せば入手も可能 非公式と思います。筆者は、CD版(オリジナル版)を遠い昔に入手しました。
  9. Qucs 回路シミュレータ Qucs team(オープンソース)
  10. QucsStudio 回路シミュレータ Michael Margraf氏 DD6UM 作
  11. App-CAD 回路シミュレータではありませんが高周波設計の支援ソフト Avago Technologies?

上記で紹介した1-5項は回路シミュレーション用で高周波シミュレーション解析には不向き(高周波回路解析もできない訳ではありません)少し、厄介だと思います。

6項のSonnetは、回路解析ができない。また、電磁界解析のみです。7項のS-NAP Wireless Suite は、回路解析と電磁界解析の混合で面白い。

1-7項は、企業が提供してくれるシミュレーターで解析できる制約と登録が必要になり、面倒な方には強くお薦めは致しません。

このQucsStudioQucsでも可)は、無償で制約なく使用できますし、電子回路解析も高周波回路解析もできます。Qucs系を使う上で、Qucsは、日本語対応しているが、QucsStudioは、英語のみですが使っているうちに慣れますので両方とも導入する方法もあります。どちらもwindows のレジストリ―に多分影響ないので良いかと、但し、アプリの名前が似ていますが、回路、データに互換性が無いので解析関連の全てのファイルが管理できるようにして下さい。

QucsStudioの使い方:QucsStudioは、解析には、DC解析、AC解析、トランジェント解析、デジタル解析、ハーモニックバランス解析 そして、Sパラ解析で、NanoVNAとの関連でSパラ解析(S-Parameter simulation)についてです。

QucsStudio_D/L
  • ダウンロードしたzipファイルを解凍します。
  • 解凍するとQucsStudioフォルダができますのでお好きな場所に移動するか、そのままにする。但し、日本語名(全角文字)のファルダがあるところは避ける。
QucsStudio解凍
  • 解凍したzipファイルは、C:\Users\xxx\Desktop\Simulation\QucsStudio アプリの置き場所の一例。
  • start.batの起動バッチファイルがあるので起動
QucsStudio起動画面

QucsStudioを起動した画面です。本来は、Projectsには何もありませんが、筆者は幾つかのProjectsを作っていますのでモザイクをかけております。

 

QucsStudioの使う方を進めていきたいのですが、目的はNanoVNAで測定したSパラをQucsStudioで解析や実験のためのSパラ解析方法なので一旦止めます、NanoVNAでのSパラデータの取り込み方法を簡単に書いてから再度QucsStudioに戻ります。今回のSパラデータは、2mの1/4λホイップを測定したデータです。

1/4λホイップアンテナ

・校正する前にSTART,STOP周波数を設定します。

・2mアンテナなので144~146MHzですが、両サイドに2MHz分を入れています。

・測定したら、左サイドバーにフロッピーディスクのアイコンのS1Pボタンが有りますのでクリックしてファイル名を決めて保存して下さい。*ファイル名と保存場所は忘れない。

・もし、画像でも保存したい場合は、FormかGraphボタンで画像保存できます、Formは画面全部でGraphはトレースデータ画面のみです。

DUT(被測定物)のSパラデータを取得できたのでQucsStudioの説明に戻ります。

起動したQucsStudioの解析をするまでの作業です。

プロジェクト作成・まず、新しいプロジェクトを作成します。サイドバーのNewタブをクリックして”Create new project”ポップアップ画面に任意の半角文字で入力し、Createボタンを選択し、クリック。
回路作成準備Newprojectを作るとサイドバー横のContentの名称のタブがアクティブになり、メイン画面部に回路を描画できます。またサイドバー部のSchematicsがグレー色になっています。

部品の配置

回路作成には、今回のSパラ解析では三つ部品をライブラリーから見つけ配置します。部品ライブラリーは、サイドバー横にタブをComponentsをクリックし、アクティブにする。次にサイドバー上部のドロップダウンメニューから各カテゴリを選択。

ドロップダウンメニューアイコン選択
SourcesPower Sources
System ComponentsS parameter file

グランドの配置は、ウィンドウのリボン部にグランド記号がありますから選択して、配置します。ここでは、配線(Line)は引かない方が良い。

​​
Spara_LoadLOAD_Wiring
start,stop_SetSimulation

 

  1. S parameter fileが初期のままなので読み込む
  2. S-parameter simulation解析パーツを回路に入れる
  3. 各パーツ間を配線する。
  4. S-parameter simulationの周波数等の設定
  5. 解析する。初解析なので回路図名(*.sch)の要求するダイアログが出ますので任意に名称を入力してください。使える文字は半角英数文字、ハイフン、アンダースコアです。

*S parameter file部品のref端子は、グランドに接続のこと、回路シミュレータは基準(電圧)?が無いとエラーになり、解析しません。

*Sparameter fileを取得し、解析する場合は、S-parameter simulationのStart,Stop周波数の定義は取得した周波数と一致させるか、取得範囲内で定義すること、Step数については、NanoVNAは、101pointsですがこれにこだわる必要はありません。アプリ内部で補間します。

ReturnLoss_AddReturnLoss_Disp
VSWR_DispReturnLoss&VSWR

NanoVNAで測定した2mの1/4λホイップのSパラデータを回路シミュレーターで解析と表示させることが出来ました。

ReturnLossやVSWR以外にSmithChart等も表示できますので試してください。

 

 

maker_setMaker設定
Maker位置Maker表示例
  1. マーカーを入れたいグラフデータをアクティブにする。
  2. マーカーをセットする宣言する。
  3. マーカーを置く位置を指定する。
  4. 希望した位置のマーカーが置かれる。
  5. 1-4を繰り返す分だけマーカーが置ける。

検証してみる。2mの1/4λホイップをNanoVNAで測定した結果とQucsStudioでシミュレーションした結果が同じになるのが当然ですが、本当か確認する。

 

  NanoVNAQucsStudio
VSWR144MHz1.203 @143.98 MHz1.202 @143.97 MHz
146MHz1.215 @146.02 MHz1.215 @146.03 MHz
データ画像(参考)

1/4λホイップアンテナ

2mの1/4λホイップデータ

マーカー数値

当然ですが、QucsStudioのSパラ解析は、NanoVNAのSパラデータを解析していますからQucsStudioの解析データと一致していないと駄目です。

QucsStudioや関連する記事を後にアップします。

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